消化管疾患(内視鏡検査)について
内視鏡とはいわゆる「胃カメラ」になります。
口や肛門から先端にカメラのついたチューブを挿入し、食道、胃や小腸、大腸などの消化管の状態を検査する医療機器です。
内視鏡検査における適応
内視鏡検査における適応として多くは食道や胃内の異物(誤食したもの)摘出や治らない慢性嘔吐や下痢症に対しての原因を探る、診断をするための検査として行うことがあります。
対応可能な病気であれば、開腹手術を行わず、低侵襲(最小限の痛み)で体にも負担が少ない検査・治療ができます。
適応疾患(例)
食道:食道狭窄、食道内の観察(腫瘍など)、異物
胃 :胃内異物、慢性腸症(IBD)、一部の腫瘍の鑑別など
小腸:慢性腸症、腫瘍、異物
大腸:慢性腸症、大腸ポリープ、大腸腫瘍
内視鏡における診断
症例1(犬:2歳・雌)
慢性胃腸炎(IBD)
1歳から慢性的な嘔吐が認められ、各検査で除外診断を実施したのち、内視鏡にて診断した。
症例2(猫:15歳・雌)
消化管リンパ腫
超音波検査にて粘膜に限局した病変、最終的には外科的手術を実施し、化学療法を行なっている。
症例3(犬:10歳・雌)
胃腺癌
症例4(犬:7歳・雄)
慢性腸炎、リンパ管拡張
血液検査にて低アルブミン血症を認め、確定診断のため内視鏡検査を実施した。
当院の手術の流れ
診療の流れ
内視鏡が適応になる症例で最も多いのが、吐くや下痢をする消化器症状です。
異物の誤食があるケースもありますが、胃がんや大腸がんなどの可能性がある場合でも、その検査能力が発揮されます。
以下から手術写真ですので、苦手な方は見ないようにしてください。
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- 問診
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当院では初めから不安を抱えている動物たちがさらに不安になるような、血液検査やレントゲン検査は行いません。まずは詳しい症状を飼い主様より聞き(問診)本当に必要な検査や治療法を決めていきます。
消化器科の問診では家族の方からの情報が診療の手助けとなるため、何か変なものを食べたり、嘔吐や下痢がいつからどの程度あるのか?といった動物たちの状態を教えてください。
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- 身体検査
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身体検査では、病的な体重変化がないか体重を測定し、消化器の病気で起こりやすい脱水症状がないかなどを確認します。
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- 検査・治療の提案
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問診と身体検査の後に大まかな動物の状態を確認し、治療や検査のご提案をします。症状が軽い場合などには必要のない検査は行わず、治療を優先して診療を進めることも多くあります。
中には検査が必要になることもあります。この際にも可能な限り負担の少ない検査から行っていきます。この時点で治療や検査が高額になる場合には、大まかな費用のご説明も併せて行います。
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- 検査・治療の実施
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動物たちの状態に合わせて検査や治療を行っていきます。検査結果はわかりやすく説明し、獣医師と家族との相談の上で治療計画を決めていきます。