胃・腸切開手術が必要な消化管内異物について
・異物の誤食により吐かせても出ない場合
・内視鏡を使っても摘出するのが困難な場合
・胃を通過、腸まで流れてしまい途中で詰まってしまった場合
・消化管の一部が腫瘍化してしまった場合
・何らかの原因で腸の一部が壊死してしまった場合
以上の病態に動物が陥ると食欲不振はもちろん、何をしても吐き続け、僅か数日でどんどん弱っていく為、早急な原因究明と迅速な手術への移行が必要となります。
当院の治療方法について
血液検査・腹部画像検査
頻回の嘔吐と食欲の廃絶が認められた場合、速やかに検査を実施します。具体的には、内臓系疾患の除外のために血液検査、腹部の画像検査です。血液検査上では安定しているのに、嘔吐が出るケースでは何等かの原因による消化器系の障害が疑われます。若い子なら異物、年配の子なら腫瘍であることが確率的に多いです。
バリウム検査
画像検査で検出が難しい場合、バリウムによる消化管造影法を行います。時間を決めてレントゲン撮影を行うので、最低でも1~2日は入院して行います。これにより腸の閉塞、もしくは異物が濃厚となった場合にのみ、開腹手術が適応かを判断します。
手術
問題箇所が胃にある場合:胃切開
十二指腸~大腸に及ぶ場合:腸切開
となります。
どれも動物にとっては侵襲性の高い手術なのでなるべくなら避けたいですが、ほっておけば死んでしまいます。なるべくこうならない為に、誤食だけでも気を付けたいですね。
手術後
手術後すぐにご飯は食べられません。数日点滴だけで、切った所がくっつきだしたら、流動食を少しずつ食べてもらいます。そのため手術した後も長い入院が必要となります。
当院の手術の流れ
診療の流れ
当院では術前にしっかりと問診と身体検査を行い、飼い主様の不安と疑問が解消できてからの処置となります。少しでも不安や疑問がある場合は何でも聞いて下さい。解決できるまで何度でも説明します!
以下から手術写真ですので、苦手な方は見ないようにしてください。
-
Step
- 画像検査
-
画像検査(レントゲン、エコー)により、胃や腸の動き、液体やガスの貯留具合、拡張の有無等を調べます。
金属などのレントゲンに写りやすいものなら一発ですが、柔らかい異物や、腸重責、腫瘍などでの閉塞の場合には断定が困難なことが多いです。
-
Step
- バリウム検査
-
より診断を確実なものとするため、バリウムを使った消化管造影検査を行います。
無事に結腸までバリウムが進むケースもあるので、“手術が必要かどうかを判断するための検査”として実施しています。
-
Step
- 手術
-
胃内に異物(内視鏡で取れないケース)が確認されれば、胃を切り開いて取り出します。
腸内に異物、腫瘍等による閉塞箇所が疑われれば、腸を切り開くか、腸管ごと取り除く手術となります。
腸管を切り取るまでなると、それを繋ぎ合わせる為により時間のかかる手術になります。
-
Step
- 手術後
-
手術によりメスを入れた胃や腸が安全に食べ物を通せるようになるまで、大体1週間くらいかかります。それまで点滴をしながらの入院となります。こうならない為にも、異物の誤食だけでも気を付けましょう!