脾臓腫瘍の代表的な症状
- 歯茎が白い
- 食欲・元気低下
- 動けない
- 腫瘍が小さい場合は、無症状…
上記の症状に心当たりがある場合は、
愛犬が「脾臓腫瘍」にかかっている可能性がございます。
脾臓腫瘍の病気について
病気の種類と特徴
脾臓は、赤血球の貯蔵・放出・古い赤血球の破壊などを行っている臓器。その脾臓が腫瘍化してしまうことを言います。犬では1/3が良性(血腫や結節性過形成)、残りの2/3が悪性腫瘍(血管肉腫、リンパ腫、組織球性肉腫等)と言われています。猫では肥満細胞腫やリンパ腫が多い傾向にあります。
放置した場合のリスク
脾臓は、血管がたくさん走っているために、腫瘍化するとその腫瘍が破裂し、腹腔内出血を起こす可能性が高いです。その中でも、血管肉腫は、DICを合併しやすい腫瘍のため、注意が必要です。
当院の脾臓腫瘍の治療の特徴
レントゲン、エコー検査
レントゲン検査によって、脾臓腫大がないかどうか、エコー検査によって、脾臓の腫瘍の状態をチェックします。画像は、腫大した脾臓を認めます。
血管肉腫の病理画像です
病理検査について
通常、腫瘍の確定診断には、病理検査が必要です。手術前に細胞診検査をすることもありますが、脾臓は血管が豊富な臓器の為に、出血や腫瘍細胞の播種のリスクが高いために、実際には、外科的に腫瘍を摘出した後に、病理診断をして行います。
脾臓摘出術(手術)
腫瘍化した脾臓を摘出し、病理検査に提出します。腫瘍の自潰による腹腔内出血で虚脱状態に陥っている場合は、ショックに対する適切な治療を実施してから、外科手術を実施します。
術式は後ほど…
脾臓の腫瘍は、破裂しやすく、突然、腹腔内出血をおこす危険があります!
※腫瘍で1番多い血管肉腫は、悪性度が高く、手術しても平均余命は2~3か月、手術後抗ガン治療を併用しても平均余命は6か月と言われています…
当院の手術の流れ
診療の流れ
当院では術前にしっかりと問診と身体検査を行い、飼い主様の不安と疑問が解消できてからの処置となります。少しでも不安や疑問がある場合は何でも聞いて下さい。解決できるまで何度でも説明します!
以下から手術写真ですので、苦手な方は見ないようにしてください。
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Step
- 腫瘍を確認
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正中切開すると胃の尾側に直視できます。
脾臓が癒着していなければ、容易に腹腔外に牽引できますが、腫瘍が破裂を起こして、大網と癒着していると容易に牽引できません。
そのため、出血させないように、慎重に牽引します。
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Step
- 切除術
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脾門のところで、脾臓に出入りしている血管を端から結紮切除していきます。
当院では、高周波電気メスを用いて、確実に止血を行い切除しています。
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- 腫瘍を摘出
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摘出した脾臓です。大網が癒着しており、過去に出血した可能性があります。
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Step
- 退院
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術後、状態の回復を待って、4~7日して、退院となります☆
病理検査の結果次第では、抗ガン治療をスタートする場合もあります。